番 | 和歌 | 作者 |
---|---|---|
55 | 滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ |
藤原公任 |
64 | 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 |
藤原定頼 |
67 | 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ |
周防内侍 |
74 | 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを |
源俊頼 |
75 | 契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり |
藤原基俊 |
80 | 長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ |
待賢門院堀河 |
81 | ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる |
後徳大寺左大臣 |
82 | 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり |
道因法師 |
83 | 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる |
皇太后宮大夫俊成 |
85 | 夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり |
俊恵法師 |
86 | 嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな |
西行法師 |
88 | 難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき |
皇嘉門院別当 |
90 | 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず |
殷富門院大輔 |
92 | わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし |
二条院讃岐 |
95 | おほけなく うき世の民に おほふかな わが立つ杣に 墨染の袖 |
前大僧正慈円 |