百人一首17番は、在原業平の歌です。このページでは、意味・現代語訳、品詞分解、表現技法、作者と背景、決まり字と覚え方をまとめています。
意味 / 語句 / 品詞分解 / 表現技法 / 作者 / 背景 / 決まり字 / 確認問題
【百人一首】第17首の歌
| 和歌 | ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは |
|---|---|
| ひらがな | ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みづくくるとは |
| 読み方 | ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとわ |
| 歌番号 | 17 |
| 歌集 | 古今集 |
| 部立 | 秋下・294番 |
| 作者・歌人 | 在原業平 |
| 色札 | 緑札 |
意味・現代語訳
(不思議なことの多かった)神代の昔にも聞いたことがない。竜田川が、(流れる紅葉で)水をあざやかな紅色にくくり染めにするとは。
ひとことで言うと、竜田川を流れる紅葉を、川が水を紅色にくくり染めにしたと見立てた歌。
語句の意味
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| ちはやぶる | 「神」にかかる枕詞。もとは勢いが激しいという意味の言葉。 |
| 神代 | 神々が国を治めていたとされる、人の世より前の時代。 |
| 竜田川 | 奈良県北西部を流れて大和川に注ぐ川。紅葉の名所として知られる歌枕。 |
| からくれなゐ | 目の覚めるような深い赤。「から(唐)」は外国渡りの品であることを表す。 |
| くくる | くくり染め(しぼり染め)にする。布を糸でしばり、染め残しで模様を作る。 |
品詞分解
上の句から順に、1語ずつ分けています。
| 語 | 品詞 | 意味・働き |
|---|---|---|
| ちはやぶる | 枕詞 | 「神(神代)」にかかる |
| 神代 | 名詞 | |
| も | 係助詞 | 「〜にも」。強調 |
| 聞か | 動詞(カ行四段活用「聞く」・未然形) | |
| ず | 助動詞「ず」(終止形・打消) | 終止形なので、ここで切れる(二句切れ) |
| 竜田川 | 名詞 | 歌枕。「くくる」の主語で、人に見立てている |
| からくれなゐ | 名詞 | あざやかな紅色 |
| に | 格助詞 | 変化の結果「〜に(染める)」 |
| 水 | 名詞 | |
| くくる | 動詞(ラ行四段活用「くくる」・終止形) | くくり染めにする。引用の「と」に続くので終止形 |
| と | 格助詞 | 引用「〜と」 |
| は | 係助詞 | 「とは」で驚きを込める |
文法のポイント
- 「聞かず」の「ず」は打消の助動詞の終止形です。文がここでいったん終わるので二句切れになります。「ず」が未然形「聞か」に付いていることも確認しましょう。
- 「水くくるとは」の「と」は引用の格助詞で、「くくる」は終止形です。「〜とは」の形で驚きを表し、意味の上では前の「神代も聞かず」に戻ってつながります(倒置)。
表現技法
| 技法 | 箇所 | 説明 |
|---|---|---|
| 句切れ | 神代も聞かず | 二句切れ。打消の「ず」が終止形で、ここで文が切れます。 |
| 枕詞 | ちはやぶる | 「神」にかかる枕詞です。ここでは「神代」を導いています。 |
| 倒置 | 水くくるとは | 第五句「水くくるとは」が、意味の上では第二句「神代も聞かず」にかかります。先に「聞いたこともない」と言い切って驚きを強めています。 |
| 擬人法 | 竜田川〜水くくる | 竜田川を、水をくくり染めにする人のように表しています。 |
| 見立て | からくれなゐに水くくる | 川面をまだらに流れる紅葉を、紅色のくくり染めの布に見立てています。 |
| 歌枕 | 竜田川 | 紅葉の名所として多くの歌によまれた川です。 |
作者:在原業平
在原業平(ありわらのなりひら)。百人一首での作者名は「在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)」です。
825年〜880年。平安時代前期の歌人です。平城天皇の皇子・阿保親王の五男で、母は桓武天皇の皇女・伊都内親王です。兄の行平らとともに在原の姓を与えられて臣下となりました。「在原氏の五男の中将」という意味で在五中将とも呼ばれ、晩年には蔵人頭も務めました。六歌仙・三十六歌仙の一人です。『伊勢物語』の主人公のモデルとされ、美男の代表として多くの説話が生まれました。紀貫之は『古今和歌集』の仮名序で、心があふれるほどなのに言葉が足りない、と評しています。
歌の背景と鑑賞
『古今和歌集』秋歌下に入る歌です。詞書によると、二条の后(藤原高子)がまだ東宮の母として御息所と呼ばれていたころ、屏風に描かれた竜田川に紅葉が流れる絵を題としてよんだ屏風歌です。一方、『伊勢物語』第百六段では、親王たちの遊覧の場に出かけた男が竜田川のほとりでよんだ歌とされ、実際の景色を前にした歌として語られています。まず「神代の昔にも聞いたことがない」と大げさに言い切り、何が珍しいのかを後から示す倒置の形で、紅葉の赤さへの驚きを強めています。「くくる」は、古くは「(紅葉の下を)水がくぐる」と解されていたが、現在は、川が水をくくり染めにしたという読み方が広く取られています。
出典:古今集(秋下・294番)。詞書:二条の后(藤原高子)が東宮の御息所と呼ばれていたころ、屏風に描かれた竜田川に紅葉が流れる絵を題としてよんだ歌。
決まり字・覚え方
決まり字
| 上の句 | 下の句 |
|---|---|
| ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ | からくれなゐに みつくくるとは |
決まり字は「ちは」の二字決まりです。同じ「ち」で始まる札に、42番「契りきな」(決まり字「ちぎりき」)、75番「契りおきし」(決まり字「ちぎりお」)があります。2文字目の「は」で区別しましょう。
ほかの札の決まり字は、百人一首の決まり字一覧(一字決まりから大山札まで)で確認できます。
覚え方
血は紅(くれない)(血は赤い-当たり前のこと)
語呂合わせは暗記のための言葉で、歌の意味とは関係ありません。
確認問題
「答えを見る」を押すと答えが開きます。
問1 上の句「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川」に続く下の句は?
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からくれなゐに 水くくるとは
問2 この歌の決まり字は?
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ちは(二字決まり)
問3 この歌の作者は?
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在原業平(百人一首での作者名は「在原業平朝臣」)
問4 この歌は何句切れか。また、この歌に使われている倒置とはどういうことか説明しなさい。
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二句切れ(「聞かず」の「ず」が終止形)。第五句「水くくるとは」が、意味の上では第二句「神代も聞かず」につながる倒置になっていて、先に驚きを示しています。
前後の歌・関連ページ
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- 同じ色札の20首:緑札の一覧と練習
- 同じテーマの歌:秋の歌の一覧
- 百人一首100首の意味・現代語訳の一覧
- 百人一首の覚え方
- 百人一首の練習問題・テスト
参考にした資料
- 古今和歌集 卷第五 秋歌下(本文・詞書)
- 三省堂 ことばのコラム 古語辞典でみる和歌 第18回「ちはやぶる…」(『三省堂 全訳読解古語辞典』)
- 朗読 小倉百人一首 ちはやぶる
- 小倉山荘 ちょっと差がつく百人一首講座(17番)
- コトバンク「在原業平」
- コトバンク「藤原高子」
- コトバンク「千早振る」
- コトバンク「竜田川」
- コトバンク「唐紅」
- コトバンク「神代」
- マナペディア 百人一首17
- 二階の窓から 百人一首017
- 百人一首で始める古文書講座(17)
- ベネッセ教育情報 百人一首017
- 百人一首17番「ちはやぶる…」の意味と現代語訳(evrica)
確認日:2026年9月30日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからお知らせください。