百人一首39番は、参議等の歌です。このページでは、意味・現代語訳、品詞分解、表現技法、作者と背景、決まり字と覚え方をまとめています。
意味 / 語句 / 品詞分解 / 表現技法 / 作者 / 背景 / 決まり字 / 確認問題
【百人一首】第39首の歌
| 和歌 | 浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき |
|---|---|
| ひらがな | あさぢふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき |
| 読み方 | あさじうの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこいしき |
| 歌番号 | 39 |
| 歌集 | 後撰集 |
| 部立 | 恋一・577番 |
| 作者・歌人 | 参議等 |
| 色札 | 黄札 |
意味・現代語訳
浅茅が点々と生える小野に、篠竹の原が続いている。篠の「しの」と同じ音の「しのぶ」心で、私は恋を人目から隠してきた。それでも思いはこらえきれずにあふれ出し、なぜこれほど恋しく思われるのか、あの人が。
ひとことで言うと、忍んでも抑えられない恋しさを、篠原の「しの」の音に重ねてよんだ歌。
語句の意味
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 浅茅生(あさぢふ) | 低いちがやが点々と生えた野。人の手が入らず荒れた、ものさびしい場所として歌によまれる。 |
| 小野(をの) | 野原のこと。「を」は語の調子を整えるために付けた接頭語。 |
| 篠原(しのはら) | 細くて背の低い竹(篠竹)が、群れになってたくさん生えている原。 |
| しのぶれど | 人に知られないよう恋心をこらえ、隠してきたけれど、という意味。 |
| あまりて | こらえられる限度を越えて。胸に収まりきらない思いがあふれ出る様子。 |
| などか | どうして〜か。理由を問う疑問の言い方で、文末を連体形で結ぶ。 |
品詞分解
上の句から順に、1語ずつ分けています。
| 語 | 品詞 | 意味・働き |
|---|---|---|
| 浅茅生 | 名詞 | 「あさぢふ」と読む |
| の | 格助詞 | 連体修飾格(〜の) |
| 小野 | 名詞 | 「をの」と読む。「を」は接頭語 |
| の | 格助詞 | 連体修飾格(〜の) |
| 篠原 | 名詞 | ここまでが序詞 |
| しのぶれ | 動詞(バ行上二段活用「しのぶ」・已然形) | こらえる、隠す |
| ど | 接続助詞 | 逆接の確定条件(〜けれど) |
| あまり | 動詞(ラ行四段活用「あまる」・連用形) | こらえきれずにあふれる |
| て | 接続助詞 | 〜て |
| など | 副詞 | どうして |
| か | 係助詞 | 疑問。結びは「恋しき」(連体形) |
| 人 | 名詞 | 恋しい相手 |
| の | 格助詞 | 主格(〜が) |
| 恋しき | 形容詞(シク活用・連体形) | 基本形「恋し」。「か」の結び |
文法のポイント
- 「など」は理由を問う副詞で、係助詞「か」と合わさって「どうして〜か」の意味になります。「か」の結びとして、文末の形容詞「恋し」が連体形「恋しき」になっています。
- 「しのぶれど」は上二段動詞「しのぶ」の已然形に接続助詞「ど」が付いた形で、「こらえているけれど」という逆接の確定条件を表します。「已然形+ど・ども」は逆接と覚えておきましょう。
表現技法
| 技法 | 箇所 | 説明 |
|---|---|---|
| 句切れ | – | 句切れなし。上の句から下の句まで一続きの文で、最後の「恋しき」で結ばれます。 |
| 序詞 | 浅茅生の小野の篠原 | 「篠原」の「しの」と同じ音で「しのぶれど」を導く序詞です。浅茅が生え篠竹が茂るさびしい野原の景色が、人知れず思いを抱く心と重なります。 |
| 枕詞 | 浅茅生の | 「浅茅生の」を「小野」にかかる枕詞とする説明もあります。 |
| 本歌取り | 浅茅生の小野の篠原 | 『古今集』の読人知らずの歌「浅茅生の小野の篠原しのぶとも人知るらめや言ふ人なしに」をもとにしています。初めの二句をそのまま借り、後半を抑えきれない恋しさに言いかえています。 |
作者:参議等
参議等(さんぎひとし)。一般には「源等(みなもとのひとし)」とも呼ばれます。
880年〜951年。父は中納言の源希で、嵯峨天皇から出た嵯峨源氏の家柄です(等は天皇のひ孫にあたります)。役人としての出発は899年の近江権少掾でした。その後、三河守・丹波守として地方を治めたり、都で左中弁・右大弁を務めたりしています。参議に任じられて公卿の列に加わったのは、947年のことです。百人一首の作者名「参議等」は、この官職名によるものです。951年に正四位下となったのち、その年の3月に72歳で亡くなりました。勅撰集に入った歌は『後撰集』の4首だけです。
歌の背景と鑑賞
『後撰集』恋一に収められ、詞書は「人につかはしける」、つまり思う相手に贈った歌です。『古今集』恋一にある読人知らずの歌「浅茅生の小野の篠原しのぶとも人知るらめや言ふ人なしに」をもとにしています。もとの歌は「思いを胸に秘めていても、取り次ぐ人がいない以上、相手に知られることはあるまい」という内容でしたが、この歌は同じ出だしを使いながら、「抑えても抑えきれない、どうしてここまで恋しいのか」と、抑えきれない気持ちをまっすぐにぶつけています。浅茅と篠竹の茂るさびしい野原の景色から「しのぶ」を引き出す序詞も見どころで、篠竹が浅茅より背が高いことを「あまりて」に重ねて読む見方もあります。
出典:後撰集(恋一・577番)。詞書:思う相手に贈った歌。
決まり字・覚え方
決まり字
| 上の句 | 下の句 |
|---|---|
| あさじうの おののしのはら しのぶれど | あまりてなとか ひとのこひしき |
決まり字は「あさじ」の三字決まりです。同じ「あさ」で始まる札に、31番「朝ぼらけ」(決まり字「あさぼらけあ」)、64番「朝ぼらけ」(決まり字「あさぼらけう」)があります。3文字目の「じ」で区別しましょう。
ほかの札の決まり字は、百人一首の決まり字一覧(一字決まりから大山札まで)で確認できます。
覚え方
朝十個まんじゅうあまり困った
語呂合わせは暗記のための言葉で、歌の意味とは関係ありません。
確認問題
「答えを見る」を押すと答えが開きます。
問1 上の句「浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど」に続く下の句は?
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あまりてなどか 人の恋しき
問2 この歌の決まり字は?
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あさじ(三字決まり)
問3 この歌の作者は?
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参議等
問4 この歌の序詞はどこまでで、どの言葉を導いているか答えなさい。また、何によってつながっているかも説明しなさい。
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序詞は「浅茅生の小野の篠原」で、「しのぶれど」を導いています。「篠原」と「しのぶ」は、「しの」という共通の音で結びついています。
前後の歌・関連ページ
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- 同じ色札の20首:黄札(黄色)の一覧と練習
- 同じテーマの歌:恋の歌の一覧
- 百人一首100首の意味・現代語訳の一覧
- 百人一首の覚え方
- 百人一首の練習問題・テスト
参考にした資料
- 国際日本文化研究センター 和歌データベース「後撰集」「古今集」
- 後撰和歌集 巻第九 恋一(歌番号付き古典本文)
- 全日本かるた協会「浅茅生の小野の篠原しのぶれどあまりてなどか人の恋しき」
- 小倉山荘「ちょっと差がつく百人一首講座」39番
- マナペディア 百人一首39 現代語訳と解説
- 百人一首で始める古文書講座(39)
- 百人一首の意味と解説(programming-cafe)39番
- 二階の窓から 百人一首039 品詞分解と解説
- 千人万首(やまとうた)源等
- コトバンク「源等」(日本人名大辞典+Plus)
- コトバンク「浅茅生」(デジタル大辞泉)
確認日:2026年9月30日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからお知らせください。