瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ|意味・現代語訳と品詞分解(百人一首77番・崇徳院)

百人一首77番は、崇徳院の歌です。このページでは、意味・現代語訳、品詞分解、表現技法、作者と背景、決まり字と覚え方をまとめています。

意味 / 語句 / 品詞分解 / 表現技法 / 作者 / 背景 / 決まり字 / 確認問題

目次

【百人一首】第77首の歌

和歌 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ
ひらがな せをはやみ いはにせかるる たきがはの われてもすゑに あはむとぞおもふ
読み方 せをはやみ いわにせかるる たきがわの われてもすえに あわんとぞおもう
歌番号 77
歌集 詞花集
部立 恋上・229番
作者・歌人 崇徳院
色札 橙札(オレンジ札)

意味・現代語訳

浅瀬を走る水の勢いが強いため、行く手を岩にさえぎられた急流は二手に割れるが、やがてはふたたび一本の流れにもどる。(二人の仲も同じだ。)今は引き裂かれていても、行く末には必ずもう一度会おうと思う。

ひとことで言うと、岩で二つに分かれた急流がまた一つになるように、恋しい人との再会を強く願った歌。

語句の意味

語句 意味
瀬 川の浅いところ。水の流れが速くなりやすい場所。
せかるる せき止められる。流れをふさぐという意味の「せく」に、受身の「る」が付いた形。
滝川 水が勢いよく流れ下る川、急流のこと。古語の「滝」は、今いう滝よりも、激流を指すことが多い。
われても たとえ分かれても。水が岩で二つに分かれることと、人が別れることを重ねている。
末(すゑ) この先の将来。川の流れが行き着く先のイメージも重なっている。

品詞分解

上の句から順に、1語ずつ分けています。

語 品詞 意味・働き
瀬 名詞 川の浅いところ
を 間投助詞 「〜を〜み」の形で、「〜が」にあたる語を示す(格助詞とする説明もある)
はや 形容詞(ク活用「はやし」・語幹) 速い
み 接尾語 原因・理由(〜ので)。「瀬をはやみ」=瀬(の流れ)が速いので
岩 名詞
に 格助詞 受身の相手(〜によって)
せか 動詞(カ行四段活用「せく」・未然形) せき止める
るる 助動詞「る」(連体形・受身) 〜される。下の「滝川」を修飾する
滝川 名詞 急流
の 格助詞 比喩(〜のように)
われ 動詞(ラ行下二段活用「わる」・連用形) 分かれる/別れる
て 接続助詞 〜て
も 係助詞 「ても」で「たとえ〜ても」
末 名詞 「すゑ」と読む。将来
に 格助詞 時(〜に)
あは 動詞(ハ行四段活用「あふ」・未然形) (水が)合う/(人に)逢う
む 助動詞「む」(終止形・意志) 〜しよう
と 格助詞 引用(〜と)
ぞ 係助詞 強意。結びは連体形
思ふ 動詞(ハ行四段活用「思ふ」・連体形) 「ぞ」の結び

文法のポイント

  • 「瀬をはやみ」は「名詞+を+形容詞の語幹+み」の形で、「瀬(の流れ)が速いので」と原因・理由を表します。1番の「苫をあらみ」と同じ形です。
  • 「せかるる」の「るる」は受身の助動詞「る」の連体形で、下の「滝川」を修飾しています。「る」は四段・ナ変・ラ変動詞の未然形に付くので、「せく」は未然形「せか」になっています。
  • 「あはむとぞ思ふ」は係り結びです。係助詞「ぞ」を受けて、文末の「思ふ」が連体形になっています。「む」は主語が話し手自身なので意志を表し、「会おう」と訳します。

表現技法

技法 箇所 説明
句切れ – 句切れなし。上の句から下の句まで一続きで、最後の「思ふ」で言い切ります。
序詞 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の 初句から第三句までが、「われても」を導く序詞です。上の句の川のようすは、描かれた景色であると同時に、引き離される二人の身の上をたとえています。
掛詞 われ・あは 「われ」には水が分かれる意味と人が別れる意味が、「あは」には水が再び合わさる意味と人が再会する意味が重ねられています。

作者:崇徳院

崇徳院(すとくいん)。一般には「崇徳天皇(すとくてんのう)」とも呼ばれます。

1119年〜1164年。第75代の天皇です。鳥羽天皇の第一皇子で、1123年に5歳で即位しました。しかし父の鳥羽上皇が院政をしき、1141年には異母弟の近衛天皇に位を譲ることになりました。近衛天皇が亡くなると同母弟の後白河天皇が即位し、1156年の保元の乱で後白河天皇の側と争って敗れました。讃岐(今の香川県)に流され、その地で亡くなっています。和歌を深く愛し、『久安百首』を召したほか、藤原顕輔に命じて『詞花和歌集』を撰ばせました。

歌の背景と鑑賞

詞花集では「題しらず」とされていますが、もとは崇徳院が上皇のときに召した『久安百首』の恋の歌で、そこでは初句から第三句が「ゆきなやみ岩にせかるる谷川の」という形でした。浅瀬を速く流れる水は、岩にぶつかって二つに分かれても、下流でまた一つになります。その川の姿に、たとえ引き離されても、いつか必ずまた会おうとする強い思いを重ねています。上の句の急流の勢いが、そのまま思いの激しさとして伝わってくる歌です。若くして位を退くことになった崇徳院の無念や、先への望みをこの歌に読み取る解説もあります。ただし、この歌は保元の乱より前によまれたものです。

出典:詞花集(恋上・229番)。詞書:題しらず

決まり字・覚え方

決まり字

上の句 下の句
せをはやみ いわにせかるる たきがわの われてもすゑにあ はむとそおもふ

決まり字は「せ」の一字決まりです。最初の「せ」で始まる歌はこの1首だけなので、1文字目で取れます。

ほかの札の決まり字は、百人一首の決まり字一覧(一字決まりから大山札まで)で確認できます。

覚え方

せわれパン(給食のホットドッグパンをイメージ)

語呂合わせは暗記のための言葉で、歌の意味とは関係ありません。

確認問題

「答えを見る」を押すと答えが開きます。

問1 上の句「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の」に続く下の句は?

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われても末に あはむとぞ思ふ

問2 この歌の決まり字は?

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せ(一字決まり)

問3 この歌の作者は?

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崇徳院

問4 この歌の序詞はどこからどこまでか。また、その序詞が導いている語を答えなさい。

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初句「瀬をはやみ」から第三句「滝川の」までが序詞で、第四句の「われても」を導いています。岩で分かれる急流の姿が、恋人との別れのたとえになっています。

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参考にした資料

確認日:2026年9月30日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからお知らせください。

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