百人一首4番は、山部赤人の歌です。このページでは、意味・現代語訳、品詞分解、表現技法、作者と背景、決まり字と覚え方をまとめています。
意味 / 語句 / 品詞分解 / 表現技法 / 作者 / 背景 / 決まり字 / 確認問題
【百人一首】第4首の歌
| 和歌 | 田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ |
|---|---|
| ひらがな | たごのうらに うちいでてみれば しろたへの ふじのたかねに ゆきはふりつつ |
| 読み方 | たごのうらに うちいでてみれば しろたえの ふじのたかねに ゆきわふりつつ |
| 歌番号 | 4 |
| 歌集 | 新古今集 |
| 部立 | 冬・675番 |
| 作者・歌人 | 山部赤人 |
| 色札 | 桃札(ピンク札) |
意味・現代語訳
田子の浦に出て(遠くを)見わたすと、真っ白な富士山の高い峰に、(今も)雪が降り続いている。
ひとことで言うと、田子の浦から見わたした、真っ白な富士山の峰に雪が降り続く景色をよんだ歌。
語句の意味
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 田子の浦 | 駿河国(今の静岡県)の海岸。昔は富士川の河口より西の、由比のあたりを指したとする説が有力。 |
| うち出づ | 広く見わたせる所に出る。「うち」は動詞の前に付いて調子を整える接頭語。 |
| 白妙(しろたへ) | 白い布。この歌では、雪におおわれた富士山の白さを表している。 |
| 高嶺(たかね) | 高い山の峰。ここでは富士山の山頂のあたりを指す。 |
品詞分解
上の句から順に、1語ずつ分けています。
| 語 | 品詞 | 意味・働き |
|---|---|---|
| 田子の浦 | 名詞(固有名詞) | 「たごのうら」と読む |
| に | 格助詞 | 場所(〜に) |
| うち出で | 動詞(ダ行下二段活用・連用形) | 基本形「うち出づ」。「うち」は調子を整える接頭語 |
| て | 接続助詞 | 単純接続(〜て) |
| みれ | 動詞(マ行上一段活用・已然形) | 基本形「見る」 |
| ば | 接続助詞 | 已然形+ば=確定条件(〜と、〜したところ) |
| 白妙 | 名詞 | 「しろたへ」と読む。白い布 |
| の | 格助詞 | 連体修飾格(〜の)。「白妙の」で「富士の高嶺」にかかる枕詞とされる |
| 富士 | 名詞(固有名詞) | |
| の | 格助詞 | 連体修飾格(〜の) |
| 高嶺 | 名詞 | 「たかね」と読む。高い峰 |
| に | 格助詞 | 場所(〜に) |
| 雪 | 名詞 | |
| は | 係助詞 | 取り立て(〜は) |
| 降り | 動詞(ラ行四段活用・連用形) | 基本形「降る」 |
| つつ | 接続助詞 | 反復・継続(〜し続けて)。歌の終わりに置いて余韻を残す |
文法のポイント
- 「みれば」は、上一段活用動詞「見る」の已然形「みれ」に接続助詞「ば」が付いた形です。已然形+「ば」は確定条件で、「見ると」「見たところ」と訳します。未然形+「ば」の仮定条件と区別しましょう。
- 「降りつつ」の「つつ」は反復・継続を表す接続助詞で、「降り続いている」という意味です。歌を「つつ」で終えて言い切らないため、雪が降り続く景色が余韻として残ります。
- 「うち出で」は、接頭語「うち」の付いたダ行下二段活用の動詞「うち出づ」の連用形です。「うち」は動詞の前に付いて、調子を整えたり意味を強めたりします。
表現技法
| 技法 | 箇所 | 説明 |
|---|---|---|
| 句切れ | – | 句切れなし。最後まで一続きの文です。 |
| 枕詞 | 白妙の | 白いものにかかる枕詞とされ、ここでは「富士の高嶺」にかかって、雪におおわれた山の白さを表しています。 |
| 言いさし(「つつ」止め) | 雪は降りつつ | 接続助詞「つつ」で歌を終え、言い切らないことで、雪が降り続く景色の余韻を残しています。 |
作者:山部赤人
山部赤人(やまべのあかひと)。「山辺赤人」とも書きます。
生没年不詳。奈良時代の歌人で、聖武天皇の時代に宮廷に仕えた下級の役人と考えられています。作った年がわかる歌は、724年から736年までのものです。『万葉集』に長歌13首・短歌37首が残り、天皇の行幸に従って各地の景色を詠んだ歌が多くあります。自然の景色を描く叙景歌にすぐれ、叙景歌を確立した歌人と評価されています。三十六歌仙の一人で、後の時代には柿本人麻呂と並んで「歌聖」と呼ばれました。
歌の背景と鑑賞
もとは『万葉集』巻三で、富士山を詠んだ長歌に添えられた赤人の反歌「田子の浦ゆうち出でて見れば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」です。『新古今和歌集』に入るとき、「田子の浦ゆ」が「田子の浦に」、「真白にそ」が「白妙の」、「降りける」が「降りつつ」に変わりました。「田子の浦ゆ」は「田子の浦を通って」という意味で、万葉集の形は、視界が開けたときに雪をかぶった富士山が目に入った驚きを詠んだ歌と読まれています。一方、百人一首の形は、今まさに雪が降り続いている様子を描いています。海辺から遠い山頂の雪の降り方までは実際には見えないはずなので、想像を交えた幻想的な景色として味わう読み方があります。反対に、万葉集の形の力強さが薄れたと見る評価もあります。
出典:新古今集(冬・675番)。詞書:題しらず(よまれた事情は示されていない)
決まり字・覚え方
決まり字
| 上の句 | 下の句 |
|---|---|
| たごのうらに うちいでてみれば しろたえの | ふしのたかねに ゆきはふりつつ |
決まり字は「たご」の二字決まりです。「た」で始まる札はほかに5枚あり、2文字目の「ご」で決まります。
覚え方
たこ船(タコを捕まえる船?)
語呂合わせは暗記のための言葉で、歌の意味とは関係ありません。
確認問題
「答えを見る」を押すと答えが開きます。
問1 上の句「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の」に続く下の句は?
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富士の高嶺に 雪は降りつつ
問2 この歌の決まり字は?
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たご(二字決まり)
問3 この歌の作者は?
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山部赤人
問4 「うち出でてみれば」の「みれ」の活用の種類と活用形を答えなさい。また、「ば」はどのような意味を表すか答えなさい。
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「みれ」はマ行上一段活用の動詞「見る」の已然形です。已然形に付く「ば」なので確定条件を表し、「見ると」「見たところ」と訳します。
前後の歌・関連ページ
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- 同じ色札の20首:桃札(ピンク札)の一覧と練習
- 同じテーマの歌:冬の歌の一覧
- 百人一首100首の意味・現代語訳の一覧
- 百人一首の覚え方
- 百人一首の練習問題・テスト
参考にした資料
- 新古今和歌集 巻第六 冬(歌番号付き古典本文)
- 万葉集 巻第三(歌番号付き古典本文)
- 全日本かるた協会「小倉百人一首フェスティバル2020」4番の解説
- 小倉山荘「ちょっと差がつく百人一首講座」4番
- 百人一首で始める古文書講座(4)山部赤人(新日本古典文学大系・岩波古語辞典・歌枕歌ことば辞典の引用あり)
- マナペディア 百人一首4 現代語訳と解説(品詞分解)
- 二階の窓から 百人一首004 品詞分解と解説
- 百人一首4番の意味と解説(programming-cafe)
- 短歌のこと 田子の浦にうち出でて見れば
- 小倉百人一首 音声つき 4番(左大臣光永)
- ベネッセ教育情報 百人一首004
- コトバンク「山部赤人」(デジタル大辞泉・日本国語大辞典・日本大百科全書)
- コトバンク「打ち出づ」「田子ノ浦」「高嶺」「白妙」(デジタル大辞泉)
確認日:2026年9月30日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからお知らせください。