百人一首24番は、菅原道真の歌です。このページでは、意味・現代語訳、品詞分解、表現技法、作者と背景、決まり字と覚え方をまとめています。
意味 / 語句 / 品詞分解 / 表現技法 / 作者 / 背景 / 決まり字 / 確認問題
【百人一首】第24首の歌
| 和歌 | このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに |
|---|---|
| ひらがな | このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに |
| 読み方 | このたびわ ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに |
| 歌番号 | 24 |
| 歌集 | 古今集 |
| 部立 | 羇旅・420番 |
| 作者・歌人 | 菅原道真 |
| 色札 | 青札 |
意味・現代語訳
今度の旅は(急なことで)、(神にささげる)幣も用意できませんでした。(そのかわりに)この手向山の、錦のように美しい紅葉を(ささげます)。神よ、お心のままに(お受け取りください)。
ひとことで言うと、幣のかわりに、手向山の錦のような紅葉を神にささげようとよんだ旅の歌。
語句の意味
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| たび | 「度(今回)」と「旅」の二つの意味をもつ。「このたび」で今度の旅。 |
| ぬさ(幣) | 神へのお供え。旅人は布や紙を小さく切って持ち歩き、峠の神の前でまいて道中の無事を祈った。 |
| とりあへず | 用意が間に合わない、準備できないという意味。今の「とりあえず」とは違う。 |
| 手向山 | 旅人が道の神に供え物(手向け)をする峠や山。どこの山かははっきりしない。 |
| 紅葉の錦 | 色とりどりの紅葉を、色糸で模様を織り出した織物「錦」にたとえた言葉。 |
| まにまに | 〜のままに。相手の心や成り行きにまかせるさま。 |
品詞分解
上の句から順に、1語ずつ分けています。
| 語 | 品詞 | 意味・働き |
|---|---|---|
| こ | 代名詞 | |
| の | 格助詞 | 連体修飾格 |
| たび | 名詞 | 掛詞。「度」と「旅」 |
| は | 係助詞 | 主題を示す |
| ぬさ | 名詞 | 幣。神へのささげ物 |
| も | 係助詞 | 「〜も」 |
| とりあへ | 動詞(ハ行下二段活用「とりあふ」・未然形) | 打消を伴って「用意が間に合わない」 |
| ず | 助動詞「ず」(終止形・打消) | 終止形なので、ここで切れる(二句切れ) |
| 手向山 | 名詞 | 掛詞。山の名と「手向け(神に供え物をすること)」 |
| 紅葉 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | 連体修飾格。「紅葉の錦」で錦のような紅葉 |
| 錦 | 名詞 | 色とりどりの糸で模様を織り出した織物 |
| 神 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | 連体修飾格 |
| まにま | 名詞 | 「まにまに」で「〜のままに」 |
| に | 格助詞 | 下に「お受け取りください」などの言葉が省略されている |
文法のポイント
- 「とりあへず」は、ハ行下二段動詞「とりあふ」の未然形+打消の助動詞「ず」です。「用意する間もなく」の意味で、現代語の「とりあえず(ひとまず)」とは意味が違います。
- 「まにまに」は名詞「まにま」+格助詞「に」で、「〜のままに」の意味です。歌では下に「お受け取りください」などの言葉が省略されています。
表現技法
| 技法 | 箇所 | 説明 |
|---|---|---|
| 句切れ | ぬさもとりあへず | 二句切れ。打消の「ず」が終止形で、ここで文が切れます。 |
| 掛詞 | たび | 「度(今回)」と「旅」を掛けています。 |
| 掛詞 | 手向山 | 山の名「手向山」に、神に供え物をする意味の「手向け」を掛けています。 |
| 見立て | 紅葉の錦 | 色とりどりの紅葉を錦の織物に見立て、さらにそれを神にささげる幣の代わりとしています。 |
作者:菅原道真
菅原道真(すがわらのみちざね)。百人一首での作者名は「菅家(かんけ)」です。
845年〜903年。平安時代前期の学者・政治家で、菅原是善の子です。文章博士となり、宇多天皇に重く用いられました。894年に遣唐大使に任命されたが、唐の混乱などを理由に派遣の見直しを求め、その後遣唐使は送られませんでした。醍醐天皇のもとで899年に右大臣となったが、901年、藤原時平らの中傷によって大宰権帥に左遷され、2年後に大宰府で亡くなりました。死後は天満天神としてまつられ、学問の神として信仰を集めています。百人一首の「菅家」は、菅原家をうやまった呼び名です。
歌の背景と鑑賞
『古今和歌集』羇旅歌に入る歌です。詞書によると、朱雀院(宇多上皇)が奈良にお出かけになった時に、手向山でよんだものです。この旅は、898年(昌泰元年)10月の宇多上皇の吉野・宮滝への御幸のことと考えられており、道真もお供をしていました。当時の旅人は、峠などで幣をまいて道の神に旅の安全を祈りました。この歌では、あわただしい旅で幣も用意できなかったと言いながら、山一面の紅葉を錦に見立て、それを幣のかわりにささげるという機知を示しています。『古今和歌集』では、同じ時に素性法師が手向山でよんだ歌がすぐ後に並んでいます。手向山がどこの山かははっきりせず、もともとは手向けをする峠や山を広く指す言葉だったとする説もあります。また、「とりあへず」を、紅葉の美しさの前では幣をささげきれない、と読む説もあります。
出典:古今集(羇旅・420番)。詞書:朱雀院(宇多上皇)が奈良にお出かけになった時、手向山でよんだ歌。
決まり字・覚え方
決まり字
| 上の句 | 下の句 |
|---|---|
| このたびは ぬさもとりあえず たむけやま | もみちのにしき かみのまにまに |
決まり字は「この」の二字決まりです。「こ」で始まる札はほかに5枚あり、2文字目の「の」で決まります。
ほかの札の決まり字は、百人一首の決まり字一覧(一字決まりから大山札まで)で確認できます。
覚え方
このもみじ きれい!
語呂合わせは暗記のための言葉で、歌の意味とは関係ありません。
確認問題
「答えを見る」を押すと答えが開きます。
問1 上の句「このたびは ぬさもとりあへず 手向山」に続く下の句は?
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紅葉の錦 神のまにまに
問2 この歌の決まり字は?
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この(二字決まり)
問3 この歌の作者は?
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菅原道真(百人一首での作者名は「菅家」)
問4 「このたび」の「たび」と「手向山」に使われている表現技法の名前を答え、それぞれに掛けられている二つの意味を説明しなさい。
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掛詞。「たび」には「度(今回)」と「旅」、「手向山」には山の名と、神に供え物をするという意味の「手向け」が掛けられています。
前後の歌・関連ページ
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- 同じ色札の20首:青札の一覧と練習
- 百人一首100首の意味・現代語訳の一覧
- 百人一首の覚え方
- 百人一首の練習問題・テスト
参考にした資料
- 古今和歌集 卷第九 羈旅歌(本文・詞書)
- 小倉山荘 ちょっと差がつく百人一首講座(24番)
- 朗読 小倉百人一首 このたびは
- 百人一首で始める古文書講座(24)
- レファレンス協同データベース『宮滝御幸記』は誰が書いたのか
- コトバンク「菅原道真」
- コトバンク「手向山」
- コトバンク「幣」
- コトバンク「取り敢ふ」
- コトバンク「随に」
- コトバンク「錦」
- マナペディア 百人一首24
- 二階の窓から 百人一首024
- 短歌のこと このたびは ぬさもとりあへず
- Wikipedia「宮滝遺跡」
- Wikipedia「菅原道真」
確認日:2026年9月30日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからお知らせください。