春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山|意味・現代語訳と品詞分解(百人一首2番・持統天皇)

百人一首2番は、持統天皇の歌です。このページでは、意味・現代語訳、品詞分解、表現技法、作者と背景、決まり字と覚え方をまとめています。

意味 / 語句 / 品詞分解 / 表現技法 / 作者 / 背景 / 決まり字 / 確認問題

目次

【百人一首】第2首の歌

和歌 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
ひらがな はるすぎて なつきにけらし しろたへの ころもほすてふ あまのかぐやま
読み方 はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま
歌番号 2
歌集 新古今集
部立 夏・175番
作者・歌人 持統天皇
色札 黄札

意味・現代語訳

春が過ぎて、(いつの間にか)夏が来てしまったらしい。(夏になると)真っ白な衣を干すという天の香具山に、(今、白い衣が干してあるのが見える)。

ひとことで言うと、香具山に干された白い衣を目にして、夏が来たことに気づいた歌。

語句の意味

語句 意味
けらし 「けるらし」がつまった形。「〜たらしい」と、すでに起きたことをおしはかる意味を表す。
白妙(しろたへ) 白い布。もとはカジノキやコウゾの皮から取った糸で織った布を指し、白い色そのものも表す。
てふ 「といふ」がつまった形で、「ちょう」と読む。「〜という」の意味。
天の香具山 奈良県橿原市の山。畝傍山・耳成山と合わせて大和三山と呼ばれる。空から降ってきた山だという言い伝えがある。

品詞分解

上の句から順に、1語ずつ分けています。

語 品詞 意味・働き
春 名詞
すぎ 動詞(ガ行上二段活用・連用形) 基本形「すぐ」。過ぎる
て 接続助詞 単純接続(〜て)
夏 名詞
来 動詞(カ行変格活用・連用形) 「き」と読む。基本形「来(く)」
に 助動詞「ぬ」(連用形・完了) 〜てしまった
けらし 連語(過去の助動詞「けり」の連体形「ける」+推定の助動詞「らし」の終止形がつまった形) 〜たらしい(過去の推定)。終止形で文が切れる→二句切れ
白妙 名詞 「しろたへ」と読む。白い布
の 格助詞 連体修飾格(〜の)。「白妙の」で「衣」にかかる枕詞
衣 名詞 「ころも」と読む
ほす 動詞(サ行四段活用・終止形) 干す。「てふ(といふ)」に続くので終止形
てふ 連語(格助詞「と」+動詞「いふ」がつまった形。ハ行四段型・連体形) 〜という。「ちょう」と読む。下の「天の香具山」にかかる
天の香具山 名詞(固有名詞) 名詞で歌を終える(体言止め)

文法のポイント

  • 「来にけらし」の「来」はカ行変格活用の連用形で「き」と読みます。「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「けらし」は「けるらし」がつまった形で、全体で「来てしまったらしい」となります。
  • 「けらし」で文がいったん言い切られるので、この歌は二句切れです。句切れは、文が終止形などで言い切られている所を探すと見つけやすくなります。
  • 「てふ」は格助詞「と」と動詞「いふ」がつまった連語で、「〜という」の意味です。万葉集の「衣干したり(干してある)」が、ここでは「衣ほすてふ(干すという)」と伝え聞く言い方になっています。

表現技法

技法 箇所 説明
句切れ 夏来にけらし 二句切れ。「けらし」で文がいったん終わります。
枕詞 白妙の 「衣」にかかる枕詞です。この歌では、干してある衣の白さを表す言葉としても働いています。
体言止め 天の香具山 名詞「天の香具山」で歌を終え、山の姿を印象づけています。

作者:持統天皇

持統天皇(じとうてんのう)。

645年〜702年。第41代の天皇で、在位は690〜697年です。天智天皇の第二皇女で、名を鸕野讃良(うののさらら)といいます。父の弟である大海人皇子の妻となり、大海人皇子が天武天皇として即位すると皇后になりました。夫の天武天皇が亡くなると、代わって国を治めました。皇太子の草壁皇子が亡くなったため、690年に自ら即位しました。694年に藤原京へ都を移し、697年に孫の文武天皇へ位をゆずったあとも、太上天皇として政治を支えました。『万葉集』にも歌が残っています。

歌の背景と鑑賞

もとは『万葉集』巻一に持統天皇の歌として載る「春過ぎて夏来るらし白栲の衣干したり天の香具山」です。『新古今和歌集』に入るときには、「夏来るらし」が「夏来にけらし」に、「衣干したり」が「衣ほすてふ」に変わっていました。万葉集の形は、目の前に衣が干してある光景をそのまま詠んでいます。一方、百人一首の形は「干すという」と伝え聞く言い方になっています。干してある衣を見ながら、香具山について昔から語られてきたことを思い起こす歌として読むことができます。香具山は、持統天皇が都とした藤原京のすぐ近くにある山です。初夏の山の緑と白い衣の色の取り合わせも、この歌の見どころです。なお、干してある白い衣が何を指すのかについては、いくつかの説があります。

出典:新古今集(夏・175番)。詞書:題しらず(よまれた事情は示されていない)

決まり字・覚え方

決まり字

上の句 下の句
はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすてふ あまのかくやま

決まり字は「はるす」の三字決まりです。同じ「はる」で始まる札に、67番「春の夜の」(決まり字「はるの」)があります。3文字目の「す」で区別しましょう。

ほかの札の決まり字は、百人一首の決まり字一覧(一字決まりから大山札まで)で確認できます。

覚え方

衣干すのは 春過ぎてから

語呂合わせは暗記のための言葉で、歌の意味とは関係ありません。

確認問題

「答えを見る」を押すと答えが開きます。

問1 上の句「春すぎて 夏来にけらし 白妙の」に続く下の句は?

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衣ほすてふ 天の香具山

問2 この歌の決まり字は?

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はるす(三字決まり)

問3 この歌の作者は?

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持統天皇

問4 「夏来にけらし」の「に」の文法的な説明を答えなさい。また、この歌は何句切れか答えなさい。

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「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形です。「けらし」で文がいったん言い切られるので、二句切れです。

前後の歌・関連ページ

参考にした資料

確認日:2026年9月30日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからお知らせください。

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