百人一首26番は、貞信公の歌です。このページでは、意味・現代語訳、品詞分解、表現技法、作者と背景、決まり字と覚え方をまとめています。
意味 / 語句 / 品詞分解 / 表現技法 / 作者 / 背景 / 決まり字 / 確認問題
【百人一首】第26首の歌
| 和歌 | 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ |
|---|---|
| ひらがな | をぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ |
| 読み方 | おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん |
| 歌番号 | 26 |
| 歌集 | 拾遺集 |
| 部立 | 雑秋・1128番 |
| 作者・歌人 | 貞信公 |
| 色札 | 緑札 |
意味・現代語訳
小倉山の峰で色づいているもみじの葉たちよ。人の気持ちを察することができるのなら、散るのをしばらくこらえておくれ。帝がふたたびこの地へお出ましになる日まで。
ひとことで言うと、帝の再訪の日を迎えるまで色あせないでと、小倉山のもみじに頼んだ歌。
語句の意味
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 小倉山(をぐらやま) | 京都・嵯峨野の西にある山。すぐ南を大堰川が流れ、古くから紅葉の名所として歌によまれてきた。 |
| もみぢ葉 | 秋に赤や黄に色づいた木の葉。ここでは小倉山の峰をおおう紅葉。 |
| 心あらば | もし紅葉にも、こちらの思いをくみ取る分別があるなら、という仮定。 |
| みゆき(行幸) | 天皇が外へお出かけになること。この歌では、醍醐天皇が大堰川・小倉山のあたりを訪れることを指す。 |
| なむ | 未然形に付いて、相手に「〜してほしい」と望む気持ちを表す語。ここでは紅葉に向けた願い。 |
品詞分解
上の句から順に、1語ずつ分けています。
| 語 | 品詞 | 意味・働き |
|---|---|---|
| 小倉山 | 名詞 | 地名 |
| 峰 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | 連体修飾格(〜の) |
| もみぢ葉 | 名詞 | 呼びかけ(〜よ)。ここで意味がいったん切れる(二句切れ) |
| 心 | 名詞 | |
| あら | 動詞(ラ行変格活用「あり」・未然形) | |
| ば | 接続助詞 | 未然形に付いて順接の仮定条件(もし〜ならば) |
| 今 | 副詞 | さらに。もう |
| ひとたび | 名詞 | 一度。「今ひとたび」でもう一度 |
| の | 格助詞 | 連体修飾格(〜の) |
| みゆき | 名詞 | 行幸。天皇のお出まし |
| 待た | 動詞(タ行四段活用「待つ」・未然形) | |
| なむ | 終助詞 | 他に対する願望(〜してほしい) |
文法のポイント
- 「待たなむ」の「なむ」は、未然形に付いて「〜してほしい」と他に対する願望を表す終助詞です。連用形に付く「なむ」(完了の「ぬ」の未然形+推量の「む」)や、係助詞の「なむ」と区別しましょう。
- 「心あらば」は、ラ変動詞「あり」の未然形「あら」に接続助詞「ば」が付いた形です。「未然形+ば」は順接の仮定条件で、「もし〜ならば」と訳します。
- 「今ひとたびの」の「今」は、「さらに・もう」という意味の副詞です。「今ひとたび」で「もう一度」となり、現代語の「今」とは意味が違うので注意しましょう。
表現技法
| 技法 | 箇所 | 説明 |
|---|---|---|
| 句切れ | – | 二句切れ。「峰のもみぢ葉」と呼びかけたところで、意味がいったん切れます。 |
| 擬人法 | 峰のもみぢ葉 心あらば | 紅葉を心を持つ人のように扱い、「次の行幸まで散らないで」と語りかけています。 |
作者:貞信公
貞信公(ていしんこう)。一般には「藤原忠平(ふじわらのただひら)」とも呼ばれます。
880年〜949年。父は関白・太政大臣の藤原基経で、その四男にあたります。時平・仲平は兄です。909年に兄時平が世を去ると、次兄の仲平をさしおいて一族の長の立場を継ぎ、914年には右大臣に進み、政務を率いる立場に就きました。930年に朱雀天皇が幼くして即位すると摂政となり、のちには太政大臣、関白へと進んで、次の村上天皇の代まで政治の中心にありました。時平の代に始まった法令の細則集『延喜式』の編さんを引き継ぎ、927年にまとめ上げたのも忠平です。日記『貞信公記』を残しました。「貞信公」は亡くなったあとに贈られた呼び名で、邸宅にちなむ「小一条太政大臣」という呼び方もあります。
歌の背景と鑑賞
『拾遺集』の詞書によると、亭子院(宇多法皇)が大堰川に出向かれたとき、この地は帝の行幸を仰ぐにふさわしい所だと言われたので、作者がその旨を帝に申し上げようと言ってよんだ歌です。当時の帝は宇多法皇の子の醍醐天皇で、この大堰川への御幸は907年のことと考えられています。表向きは、分別があるなら帝が次にお越しになる日まで色を保ってくれるよう紅葉に頼んでいますが、この歌は同時に、紅葉の見ごろを帝に伝え、訪れをうながす役目も果たしています。この話は『大和物語』や『大鏡』にも伝えられています。小倉山は、藤原定家が百人一首を選んだといわれる山荘があった場所としても知られています。
出典:拾遺集(雑秋・1128番)。詞書:宇多法皇(亭子院)が大堰川に出かけ、ここは帝も行幸なさるのがふさわしい所だと言われたので、その旨を帝に申し上げようと言ってよんだ歌。
決まり字・覚え方
決まり字
| 上の句 | 下の句 |
|---|---|
| おぐらやま みねのもみじば こころあらば | いまひとたひの みゆきまたなむ |
決まり字は「おぐ」の二字決まりです。「お」で始まる札はほかに6枚あり、2文字目の「ぐ」で決まります。
覚え方
小倉美由紀(おぐらみゆき)-人名(花野真奈美・美鹿野泉で三大かるた美人)
語呂合わせは暗記のための言葉で、歌の意味とは関係ありません。
確認問題
「答えを見る」を押すと答えが開きます。
問1 上の句「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば」に続く下の句は?
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今ひとたびの みゆき待たなむ
問2 この歌の決まり字は?
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おぐ(二字決まり)
問3 この歌の作者は?
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貞信公
問4 「待たなむ」の「なむ」の品詞と意味を答えなさい。また、そう判断できる理由も説明しなさい。
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他に対する願望を表す終助詞で、「待っていてほしい」と訳します。直前の「待た」がタ行四段活用の未然形であることが判断の手がかりです。
前後の歌・関連ページ
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- 同じ色札の20首:緑札の一覧と練習
- 百人一首100首の意味・現代語訳の一覧
- 百人一首の覚え方
- 百人一首の練習問題・テスト
参考にした資料
- 国際日本文化研究センター 和歌データベース「拾遺集」
- 拾遺和歌集 巻第十七 雑秋(歌番号付き古典本文)
- 小倉山荘「ちょっと差がつく百人一首講座」26番
- マナペディア 百人一首26 現代語訳と解説
- 百人一首で始める古文書講座(26)(新日本古典文学大系・岩波古語辞典の引用あり)
- 二階の窓から 百人一首026 品詞分解と解説
- programming-cafe 百人一首26番
- 千人万首(やまとうた)藤原忠平
- コトバンク「藤原忠平」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・世界大百科事典)
確認日:2026年9月30日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからお知らせください。